こたつはかわない △
克哉くん=のま、<克哉>くん=めがね
よみにくい*→もうふをかいますた




 佐伯克哉くんはさくらのあるひ、きんぱつめがねでこくいのへんたいにあやしいめがねをてにのせられて、克哉くんと<克哉>くんになりました。
 じゅうすうねんごのふゆのあるひ、こうえんでひとりさびしくびーるをのんでいた克哉くんが、きんぱつめがねでこくいのへんたいにあやしいめがねをわたされて、いろいろあって、克哉くんと<克哉>くんはらぶらぶどうせいすることになりました。
 そんな克哉くんと<克哉>くんのらぶらぶせいかつ、のぞいてみたくはありませんか?
 のぞいでみたいですね。
 ではのぞいてみましょう。


 ゆうはんをすませたふたりの克哉くんは、そふぁにすわっててれびをみていて、まったりたいむのまっさいちゅうのようです。
 克哉くんが<克哉>くんをうしろからだっこして、べたべたしていてとってもらぶいです。
 <克哉>くんが克哉くんをだっこすることがおおいのですが、こうして克哉くんが<克哉>くんをだっこしていることもとてもおおいのです。
 克哉くんがだっこするんでも、<克哉>くんがだっこするんでも、どちらでも<克哉>くんが克哉くんにあまえているようで、克哉くんはそんな<克哉>くんがかわいくて、ついぎゅっぎゅっとしたりちゅっちゅっとしたりしてしまいます。
 きょうもかわらず克哉くんは<克哉>くんをあまやかしほうだいで、はたからみるととってもはずかしいのですが、みているひとはいないのだからもっとすればいいのです。
「あー、こたつ欲しくない?」
「んー」
 どうやら克哉くんは、しーえむをみてこたつがほしいとおもったようです。
 このまんしょんは、りびんぐだいにんぐにゆかだんぼうがはいっているので、こたつがなくともあたたかいのですが、あればあったでびじゅあるてきにもあたたかさばいぞうです。
 まえにすんでいたあぱーとでは、こたつをおけるよゆうがありませんでしたが、いまのへやではすこしおおきなものでもおけそうです。
 ゆかだんぼうとこたつをうまくくみあわせたりつかいわければせつやくにもなりそうだし、克哉くんはとてもいいあんだとおもいました。
 でも<克哉>くんはなまへんじです。
「ボーナス出たらさー、こたつ買おっか」
「んー」
「MGNのボーナスっていくらくらい出るんだろ。ちょっと楽しみ」
 克哉くんたちのつとめているえむじーえぬはがいしけいですが、にほんきぎょうにちかいきぎょうけいたいをとっているので、おきゅうりょうはいちぶやくいんやかんりしょくをのぞきげっきゅうせいで、なつとふゆのぼーなすもあります。
 ちゅうとにゅうしゃの克哉くんたちは、なつのぼーなすはありませんでした。
 かわりにとくべつほうしょうきんとして、いくらかがしきゅうされたのですが、<克哉>くんがぱそこんだのなんだのをかってろうひしてくれたおかげで、佐伯けのかけいは克克もといかつかつなのでした。
「お前真っ先にこたつ買うとか言いそうなのに」
「んー」
「欲しくないの?」
「んー」
「なにもう」
「こたつ……」
「こたつ」
「……」
 だまってしまった<克哉>くんを克哉くんはふしぎにおもってかおをのぞきこむと、<克哉>くんはてれびをみたままぼーっとしています。
「<俺>? どうした?」
「こたつ……」
 もういちどぽつりとつぶやくと、<克哉>くんはごそごそとからだのむきをかえて、克哉くんをしょうめんからぎゅっとだきしめて、かおを克哉くんのむなもとにごしごしこすりつけています。めがねがいたそうです。
「なに」
「んー」
「意味分かんない」
 <克哉>くんのなぞのこうどうに、克哉くんはあきれたかおをしながらも、すりよる<克哉>くんのあたまをなでなでしてあげます。まるでおかあさんです。
「いらない」
「え?」
「こたつ、いらない」
「……そう?」
「いらない」
「そう。なら……買わないけど」
 克哉くんはちょっとざんねんでしたが、だいじなはんしんがいらないというのだから、むりにかおうとはおもいません。
 たちばがぎゃくなら、克哉くんがいくらいらないといっても、<克哉>くんはじぶんがほしいものならおかまいなしにかってしまうので、ここが克哉くんと<克哉>くんのどりょうのちがいです。
「こたつ、好きじゃないのか?」
 <克哉>くんはさむがりなので、克哉くんはすぐにどういをえられるとおもっていたようです。
 けれどへんじはのーだったので、どうしてだろうときいてみました。
「いや……」
「じゃあなんで?」
「こたつ買ったら、お前こたつ廃人になるだろ」
「う……」
 じっかでは、さむくなってこたつがでると、克哉くんはおとうさんといっしょにすっかりこたつむりになってしまうので、ふたりしてよくおかあさんにおこられていました。
「だい、じょうぶ……だよ。家事疎かにしないし、計画的なご利用を……あ、そこ心配してた?」
「それもあるが……」
 <克哉>くんはめがねをはずして、そふぁのうえにぽいっとなげすてました。
 しょうがいぶつがなくなったので、ますます克哉くんにぎゅっとだきつきます。
「こたつはあったかいな」
「うん。そりゃね」
「あったかいと、あんまりこうしなくなるだろ」
「こう?」
「こう」
 すりっとほほをこすって、むなもとからみあげる<克哉>くんがかわいくて、克哉くんはきゅんとしました。
 そのあとにことばのいみをりかいして、かおがかあっとあかくなりました。
「な、夏とか、あっつくても、こうしてたじゃん……」
「頻度も密着度も確実に減ってた」
「そうだけど……」
 それはつまり<克哉>くんは克哉くんにいつでもべったりぴったりくっついていたいのだといっているのとおなじことで、克哉くんはみみまでまっかになってしまいました。
 こんなはずかしいだだをはずかしげもなくどうどうとこねるどうしようもない<克哉>くんですが、克哉くんはいとしいとおもうのです。
「まあ、こたつでしっぽりやるのも捨てがたいが」
「……ちょっとなに言ってるか分かんない」
「どうせ盛り上がったら暑くて入っていられないんだし。いや、何より、そうなった時にはむしろ邪魔だ」
「……」
 つねにそういうしこうの<克哉>くんに克哉くんはあきれますが、じつはおなじことをちょっとはおもっていたのはないしょです。
「こたつなんかなくても、毛布でも掛けてくっついてれば、それで十分あったかい」
「……うん」
「ん」
 克哉くんがうなずくと、<克哉>くんはまんぞくげにまたぎゅぎゅっとだきつきました。
 だきあったからだはじんわりあたたかくて、克哉くんはなんともいえないこうふくかんにつつまれて、こころまでほこほこになりました。
「そうだな、ここ用に毛布は新しく買うか。ごろ寝用のハーフケットじゃ、さすがに物足りない」
「うん。ふわふわのやつ買おう」
「ああ。ふたりでくるまれる、でかいやつだ」
「うん」
 とろけるえがおでみつめあった克哉くんと<克哉>くんは、ぎゅうっとつよくだきしめあって、おたがいのにおいをいっぱいにすいこみました。
 そしてまたじっとみつめあって、ふわっとちいさくふれるだけのくちづけをかわして、またまたみつめあいました。
 みつめあって、なんどもなんどもちゅっちゅっとしていると、しぜんとくちびるのふれるじかんがながくなっていきます。
「ん……」
 ついにはどちらからともなくしたをのばして、ゆっくりからませてすいこんで、のうこうなくちづけにかわってしまいました。
 あたたかかったからだも、すっかりあつくなって、きすをしながらそふぁにおしたおされた克哉くんは、ぼんやりするあたまのなかで、ああやっぱりこたついらないなとおもいました。
 あつくなったおたがいのはだをまさぐって、たくさんちゅっちゅっとして、克哉くんも<克哉>くんも、くらくらするほどきもちよくて、しあわせで、もうたまりませんでした。
 <克哉>くんのたくみなあいぶに、克哉くんのあまいこえがいんびにひびいて……おっと、これいじょうのぞくのはやぼなので、そろそろおいとまいたしましょうか。
 なにはともあれ、きょうも克哉くんと<克哉>くんはあつあつらぶらぶげんきいっぱいで、いつもとかわらないしあわせまみれなにちじょうをすごしているということでした。
 めでたしめでたし。
2012.11.09